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「国連平和大学 Asian Peacebuilders Schalrship (APS)」12期生のブログです。「日本一APSに詳しいブログ」を目指して、APS、海外大学院留学、フィリピン、コスタリカ生活など色々書き綴ってます。

国連平和大学(University for Peace) in コスタリカ:授業編 その6(ジェンダー、平和構築、人間の安全保障)

今回は、今期最後の授業「Gender in Peacebuilding and Human Security(平和構築と人間の安全保障におけるジェンダー)」についてご紹介します。こちらは、平和・紛争学部(Department of Peace and Conflict Studies: PCS)在籍の学生の必修の授業となっています。

 

Gender in Peacebuilding and Human Security」

こちらもジェンダーに関する授業ということで、MA in Gender and Peace Building (GPB)担当の講師が担当していました。一方学生はというと、GPB以外のPCSのプログラム(MA in International Peace StudiesとMA in Peace Education)も参加し、総勢30名以上の大所帯のクラスとなりました。

この授業では、ジェンダーの視点(講義ではよく「gender lens」というフレーズが使われていました)を元に紛争、平和、そして人間の安全保障(human security)について考えるというコンセプトで、GPBの学生にとっては今期のまとめのような授業でした。

授業の一環として、ジェンダーに関する美術館を訪問したり、映画を鑑賞したり、また後述するようにグループでロールプレイをしたりと、アクティビティ満載の内容となっていました。

女性・平和・安全保障に関する国連安保理決議第1325号(UNSCR1325)

ジェンダーの視点から平和構築を考える上で、絶対に抑えていなければならないのが2000年に出された「女性・平和・安全保障に関する国連安保理決議第1325号(United Nations Security Counci Resolution 1325: UNSCR1325)」です。この決議の中では、

1)(女性の意思決定プロセスへの)参加(participation)

2)(性とジェンダーに基づく暴力 Sexual and Gender Based Violence: SGBVの)予防(prevention)

3)(SGBVを受けた被害者の)保護 (protection)

4)女性の視点に配慮した救援と復興(relief and recovery)

という4つの柱が提案され、これらは現在の平和構築分野でのジェンダー(特に女性)関連分野における指針とされています。ただし、「ジェンダー平等」という言葉が使われているのにもかかわらず、セクシャルマイノリティ(授業では「LGBTQI+ community」というフレーズが使われていました)への言及が全くない、という批判も授業の中で議論されました。

人間の安全保障(Human Security)

もう一つ授業の中心的なテーマとなったのは人間の安全保障です。これは1994年に出版された人間開発報告書(Human Development Report: HDR)で定義された概念です。「恐怖からの自由(freedom from fear)」「欠乏からの自由(freedom from want)」が核となっており、その上で、人間の安全保障には以下7つの種類があるとされています。

経済の安全保障(Economic security)

食糧の安全保障(Food security)

健康の安全保障(Health security)

環境の安全保障(Environmental security)

個人の安全保障(Personal security)

地域社会の安全保障(Community security)

政治の安全保障(Political security)

授業では、これら1つずつの安全保障がどのようにジェンダーと関係してくるか、ケーススタディを通じて学びました。

 

和平交渉のロールプレイ

今回の授業では、個人のプレゼンテーション、エッセイ執筆の他、グループでのロールプレイが課題として出されました。これは世界各国の和平交渉でどのようにジェンダーに関する問題が扱われ、また扱われなかったかを、ロールプレイを通じて分析、発表するというものでした。私のグループでは、史上最もジェンダーに配慮を払った和平交渉の1つとされる、コロンビア和平交渉をテーマとしました。 

コロンビア和平交渉におけるジェンダーの視点

コロンビア内戦、そして和平交渉の詳細についてはここでは割愛しますが、和平交渉のプロセスの中で、ジェンダーの問題を専門に扱う委員会が立ち上げられたり交渉プロセスに多くの女性が参加したり、さらには最終合意文書の中にジェンダー平等や女性に関する記述が多くなされたりと、コロンビア和平交渉は歴史上最もジェンダー、そして女性に配慮した和平交渉として位置付けられています。

ロールプレイでは、コロンビア内戦とその和平交渉について簡単にレビューした後、ジェンダー委員会(Sub-commission on Gender)の第一回目のミーティングの様子、そして実際の和平交渉の最終日の様子を演じました。ロールプレイ中の台本は、文献やニュース等を元に一から自分たちで考える…というかなり骨の折れる作業でした。

他のロールプレイでは、ロールプレイ中に歌ったり踊ったりしたグループもあれば、本当に涙を流しながら訴えたり…と迫真の演技を見せるグループもあり、見る側としてもとても楽しいものでした。

これでUPeaceでの第一セメスターも終わり、これから約ひと月の長期休暇に入ります。せっかくのコスタリカでの休暇なので有意義に過ごしたいと思います。